常務・鷹司陸人(タカツカサリクト)

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10月15日。 サエコが常務室で仕事をしていると、ノックの音。 「はい」 サエコが返事をして立つと、ドアが開き、入って来たのは意外な人物ーー専務だった。 「専務・・・? お疲れ様です、 常務でしたら今、社長室に・・」 「・・知ってる」 被せるように言い放つ専務。 対面に立ち、サエコを見下ろす、不機嫌そうな、その顔ーー 体格は、常務によく似ている。 「あの・・・?」 専務は値踏みするかのように、冷たい瞳で不躾にサエコをジロジロ見つめた。 顔から髪、カラダのラインまで上から下までーー 「・・なるほどな」 「・・・っ」 ーー何が・・・?! 専務との接点は今まで何もなく、どうして不機嫌にジロジロ見られるのか見当もつかない。 サエコは直立不動で、何も言えなかったーー。 その時、ガチャ・・とドアが開き、常務が戻る。 思わずサエコはホッとした。 「・・兄貴? いや、専務・・・どうかしましたか?」 専務は常務を振り返る。 常務はサエコと専務を訝し気に交互に見ていた。 「リクト・・ちょっと来てくれ」 「・・・」 専務に続いて常務がまた出て行った。 「・・・」 ーー何だったんだろ? サエコは仕事に戻った。
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