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強いアルコールが喉をカッと熱くさせる。火のカタマリでも飲んだみたいだ。
反射的に飲み込むと、
クラッと視界が揺れた。
「あはは・・・やっぱこれは強いかあ。」
「ん~~」
サエコは眉を寄せて、おしぼりで口元を押さえた。
「・・・ねえ、サエコさん。美味しい焼き鳥屋さんがあるから、今から皆で行こうよ」
「ん・・・」
タケルはサエコに囁きながら、一緒に来ていた3人を見る。
結城課長とあとの2人は、タケルにニヤニヤ頷きながら笑った。
「ねえ、モエさん
俺たちサエコさん連れてこの後行きつけの焼き鳥屋に行くけど、一緒に行く?」
「あ、ごめーん
私マスター口説くのに忙しいからさ」
「モエさん(笑)やっぱ口説いてたの?」
「じゃ・・サエコさんは連れて行ってもいいよね?」
「よろ!
サエコ、またね~!」
アルコールがまわったサエコは、タケルに抱き抱えられるようにしてフラフラと店を出る。
すぐに、タケルはタクシーを捕まえた。
「・・・タケル、ほどほどにな」
「あいっ・・・わかってまーす!」
「タケル、今から行くところ・・・焼き鳥なんかあるのか?」
「んー・・あるのはお風呂とベッドぐらい、かな★
女の子がこんなに酔っぱらったらゆっくり介抱してあげなきゃね!
んじゃ!」
ぐったりして意識を手放しそうなサエコのカラダは、こうしてまた、
タクシーに押し込められた。
その後、タッチの差で常務がお店に電話をしてきたことも、トモキが店に来たことも、サエコは知らなかった。
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