情報システム部・真鍋武尊(マナベタケル)

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ーーーーー 「さっちゃーん、明日さー、サイクリング行こう!」 タケルからはいつの間にか『さっちゃん』と呼ばれている。 金曜日の仕事帰り。2人で並んで歩く。 「うん。いいね。 でも私、自転車持ってないなあ」 「じゃ明日、俺が買ってあげるよ サイクリングは明後日の日曜日いこ」 「え、私も働いてるし、自分で買うからいいよ」 「ダーメ。彼氏だから、彼女に何か買ってあげたいんだ。 いいでしょー?」 タケルはアウトドア派で、フットワークが軽くて、休みの度に、サエコを色んな場所に連れ出した。 「冬になったらスノボしよ。スケートも。 んで、夏はキャンプね。海も行こう。スキューバも! あは・・・さっちゃんの水着姿、可愛いだろうな」 「・・・うん、私、何もできないけど💦 滑れないし泳げないし・・・💦」 「いいよ、さっちゃんの初めては、全部、全部俺が教えてあげるから」 タケルはとても優しく、ニコッと微笑んだ。 サイクリングに来た日曜日 丘の上から夕陽を見た。 少し汗ばむ肌。吹き抜ける風が心地いい。 眼下に広がる街並み その向こうに広がる、海。 キラキラ太陽を反射している。 「さっちゃん、俺さ」 「うん?」 タケルが少し緊張したように、ゴクンと唾を飲む。 夕日を見つめたままの澄んだその目には、きれいな夕日が差し込んで若者らしくキラキラ光っていた。 「俺、・・・さっちゃんが、好きだよ」 「・・・。 うん」 「・・・正直に言う。初めはカラダだけだった。 あの夜、一晩抱ければラッキー♪て思ってた」 「うん」 「俺、ガキだった。 翌日も有頂天でさ『あの女イケた!おすすめ。強いの飲ませたらマジちょろい』『女女してないから、あと腐れもなさそう』とか友達に自慢して言ってさ」 「うん」 「『思ってたより全然いい。やらしくてすげーよかった。飽きたらお前たちにもまわしてやる』って・・・」 タケルの声が小さくなる。 「・・・うん」
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