情報システム部・真鍋武尊(マナベタケル)

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タケルはブンブンと首を振った。 「俺が、ちゃんとしたいんだ。 月島冴子さん・・・好きです。 俺と、付き合ってくれますか?」 「・・・はい」 タケルは泣きそうな笑顔になって、サエコをギュッと抱きしめた。 弾みで、花束がゆっくり落ちて行った。 「ありがとう・・・!さっちゃん・・・!!」 「うん・・・」 「これで俺なりにケジメはつけた・・・公開できる・・・さっちゃんと俺のこと、皆に・・・」 抱きしめられながらーーまた近日中にループすることがわかっているサエコは、少し複雑だった。 総務部の自分の机の隅に生けた、小さな可愛いブーケ。 教育係の結城先輩が、こそっと耳打ちしてくる 「可愛い花だね。 ・・・旦那に聞いたわよ。サエちゃん、情シスの真鍋君と付き合ってんのね」 「はい、一応」 「あのワンナイトラブの遊び人がねぇ・・・人って変わるのね」 内緒話が聞こえたらしく、隣席の佐々木祥子(ササキショウコ)が加わってくる。 「サエちゃん、そうなの!?」 「うん・・・まあ・・・」 「へー! よく営業1課の難波係長に絡まれて話してるから、そっちと思ってた!」 「難波係長は、高校時代から知り合いだからね・・・」 「ふーん・・・ なーんか、距離感がそんなふうでもなさそうだけどねー!」 ゴホン! サエコの後ろから咳払いが聞こえて、3人の話は止まる。 結城先輩がサエコに目配せした。 ショウコが目をそらした。 「月島さん」 「はい」 ペンを置き、立ち上がって、振り返る。 サエコのすぐ後ろーーそこには、樹人事部長と、常務が立っていた。 常務がじっとサエコを見下ろす。 ーー常務・・・ 「月島さん、一緒に来て下さい」 「はい・・・?」 樹部長に言われて、サエコは席を立った。
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