情報システム部・真鍋武尊(マナベタケル)

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ーー落ち着かない・・・ この日は10月15日だった。 明日の朝にはきっと、また1か月前に『ループ』する筈。 サエコは常務室でソファを勧められ、座っていた。 正面には、常務。 常務の隣には、樹人事部長が。 肩幅が広く、体格はよく、似ている。 「・・・樹」 常務に呼ばれた樹部長が、サエコを見て、口を開く。 「月島さん」 「はい」 「月島さんは、10月から総務に異動になったんですが」 「・・・」 「ゆくゆくは、常務秘書に抜擢されます」 「へっ!?」 ビックリしすぎて、変な声が出る。 常務はニヤニヤ笑っていた。 ーーそういえば、『常務ルート』では、秘書だったけれど・・・ あれはどちらかというと愛人みたいな・・・ 「もともとは、常務のたっての希望があっての異動です。 営業1課でも、あなたの仕事の評価は高かった。 総務の仕事に一通り慣れたら、ゆくゆくは、というお話です」 「・・・はあ・・・」 「早いほどいい」 常務が口をはさんだ。 樹部長がチラっと常務を見る。 「・・・現実的には、4月、早くても1月、と考えております。」 常務は不承不承という感じで頷いた。 「・・・樹」 常務に促され、樹部長がサエコをジッと見つめた。 「月島さん。 大変申し上げにくいのですが・・・」 「はい・・?」 「常務秘書の仕事は激務です。 慣れるまで、プライベートは無いに等しいでしょう。 ・・・異性とのお付き合いがあれば、今のうちに、清算を」 ーーえっ・・・
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