情報システム部・真鍋武尊(マナベタケル)

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10月15日の夜。 一緒に食事した後、サエコはタケルの部屋に招かれた。 「お邪魔します・・・」 「入って入って!さっちゃん」 タケルの部屋は殺風景で。 黒を基調とした若い男の子らしい部屋には、あまり物が置いてなかった。 「・・・すごく、キレイにしてるんだね」 サエコが感心して言うと、タケルがあはっと笑った。 「さっちゃんが来てくれるかもって、1週間前から必死で掃除した。 実は、間に合わなくて、あっちのクローゼットに全部押し込んでる(笑) あそこ開けたら大変だから」 サエコにソファを促すと、炭酸水を注いだグラスを2つ置いて、タケルは隣に座った。 「今日は、酔いたくなくて、ね」 タケルはサエコに勧めると、自分も一口炭酸水を飲み、サエコに微笑んだ。 「さっちゃん」 「何?」 少し緊張した面持ちで、スッと真剣な顔になる、タケル。 「・・・今日、抱いていい、かな?」 「・・・うん」 タケルがサエコのカラダを求めるのは、ほとんど3週間ぶりだった。 「俺ね」 「うん」 「・・・悪い男だったと、思う」 「そう・・かな?」 「・・・たくさん、女の子を泣かしたと思う」 「・・・」 「好きって言われてもさ、うざくて、面倒で、重くて」 「うん」 「平気で裏切って、大事じゃないからどうでもよくて」 「・・・」 「1晩、軽く遊べたらよかった」 「うん」 ーーわかる気がするよ。 私も、気持ちは、いらないから・・・
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