箱の中のAIロボット

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 自ら仰ったのに、何という天の邪鬼であられる。 「人間の数が減り続けた今、ロボットは産業や政治、医療や防衛。様々な分野で人間の穴埋めをしている。先人たちは、効率を上げるため、夢のため、発展途上を先進させるためにロボティクス工学を確立させ、普及させた」  エイジ様は天井を眺めておられ、表情が見えない。声に抑揚もなく、脳波にも異常はなく、これでは、その心情と呼ばれる人間独特のそれを理解出来ない。 「言っておくが、俺は同性愛に関して賛成派だ。というよりはどっちでもねえ、と言う方がいいだろうな」  エイジ様は相変わらず、天井を眺めておられる。 「好きになったら性別なんぞ関係ない。感情は、最終的に理性よりも本能が勝ることが多いだろう」 「エイジ様、何を仰りたいのか」 「でもなあ。人間が生まれるには、精子と卵子が必要なんだ。花だって、他の動物だってそうだ。例外の動植物がいても、一つ言えることは人間は、例外ではないということだ」  私は言葉を発せられない。思い付かないのだ。     
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