箱の中のAIロボット

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「いえ。私は数百人一人一人と繋がれましたが、それ以降のロボットたちは、私の作ったデータグループを予めインプットし、最新情報はアースコンピューターと呼ばれる母体コンピューターによって都度情報を更新してアップデートされていきます」 「母体コンピューターか。その製造にもグレイは関わったの?」 「その時の記憶、情報に関しては開示することが出来ません。そう設定されています」 「そうか。アウトプットはされていないんだな。わかった。本題に戻ろう」  ナツキ様は、私の手を握り、仰った。 「人間には体温がある。グレイ、俺の手は温かい?」  ナツキ様が、今更の様な行動を取られたが、私の答えはいつもと同じである。昼間のスバル様とて同じこと。 「いいえ。わかりません」 「そう。わからない、つまり理解出来ないんだ」  ナツキ様は、私の頭に手を添えられた。 「でも、人間に体温があることを知っているだろう?」 「はい。私は、知っています」 「その違いだ」  ナツキ様は笑っておられるのに、ロボットであるこの私が、その笑顔が何故怖いのかをパターンに当てはめ知っていたとしても、根拠を理解出来ないのは何故なのか。 「ナツキ様。私は今、恐怖で支配されています」 「どうして?」  人工知能ロボット、つまりAIロボットである私にも、この恐怖がどの回路を通じて、どのデータをベースに読み取り、参照しているのか。知識はあれど、理解は出来ないのだ。何故だ。     
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