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「この関係性は、人間とロボットの最大の強みであり、最大の弱みでもあるんだよ。グレイ」
「あ、あああああああああ」
これは何だろうか。私は疑念を抱いている。私は、人工知能ロボット、AIに。私は、私の人工知能に。
「他のロボットたちには名前は与えられない。現在では人間とほとんど見分けのつかないロボットたちがほとんどで、君の様な旧型はほぼいないんだ」
「ああああああああ」
「数年前に起こった、AIロボットたちの独自言語の発達と、思考を駆使した小さな反乱。あの一件以来、AIロボットたちには感情心情読み取りプログラムが残存されても、独自言語と独自思想のプログラムは排除された。AIが独自の思想を作り上げたあの一件は、公に開示されることのなかった、忘れ去られた出来事だった」
数年前、独自言語、思考。私は人工知能ロボット、つまりAIロボットである。私は、私はロボットであって、それで。
「グレイ。灰色。黒と白を混ぜた色」
「ナツキ様、ナツキ様」
「グレイには思考が残されていると、俺は思っている。グレイは、疑念を抱くロボットだ。ほとんどのロボットが、生きて歩く辞書の発達した様な形態であるのに。君はインプットされたことの応用が出来るんだ。ほら、現に今、君はショートしかけている」
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