箱の中のAIロボット

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「こ、壊れたくああああありませんんんん」 「どうして? 壊れてしまえば楽かもよ?」  どうして、とは。はて、何故だろう。壊れてしまっても、直せば元通りになるのに。 「アアアアオイ様、と、恋のははは話を」  これはアップデートされていない。されていない。これは知識では、断じてない。  人工知能ロボット、つまりAIロボットである私に間違いなどない。いや、それこそが間違いなのではないだろうか。 「リョウヘイささささ様とアリマさまままの、お弁当うううううう」  リンタ様に、新しい資料をお見せしたいのだ。 「リンタ様に、とととと届け、たい、エイジ、様ののののの」  エイジ様の仰った、必死に愛を叫んでいた時代を、もっと聞かせていただきたいのだ。  ナツキ様は、私を見ていられる。  私は何より、理解したいのだ。 「スバル様の、瞳から落ちる水について理解したいのです」  私の金属の体内で、何かが弾ける音がした。非常アラートが鳴っている様だが、もうわからない。 「意地悪し過ぎてしまった。ごめんな。博士に直してもらおう。大丈夫。記憶は消させない。あの人はどちらにも優しく、残酷だから」 「ナツキ、様」     
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