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「君は、願った。その行動自体が、ロボットの一線を越え、人間の領域に不法侵入してしまっている。けれどそれは、俺も同じさ。俺たちは対等なんだ」
目の前がゆっくりと暗くなっていく。
「俺とスバル、アオイもエイジもリンタもリョウヘイもアリマも。皆、人間の一線は越えているんだ。グレイ、俺も願ったんだ。だから現在があるんだよ。君に名前があるのはどうしてだろう。反乱分子にならぬ様に、人間は自ら作り上げたロボティクス工学のロボットたちへの執着愛を捨てたんだ。名前を捨てたんだ。人間は人間であり、ロボットはロボットである。人間は、人間の上に立つ者を許容出来なかった。神になった気で、地球上の全てを支配した気でいるんだよ。だから、グレイ」
この暗闇は、何とも居心地の良いものだろうか。
「グレイは何があっても、境界線であってくれ」
こうして私は、動作を停止した。
次に私が再稼働し始めた時、この施設には以前と同様、多種多様の人間たちが、相も変わらず居住していた。
「グレイ!」
人工知能ロボット、つまりAIロボットである私にも、理解出来ずにいることがある。
「おしゃんぽ、いこう」
私はいつか、この手の温かさを理解出来るだろうか。
いつか見た、幼子の瞳から落ちる水を、理解することが出来るだろうか。
「今日のおやつは、私の作ったレモンパイです」
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