箱の中のAIロボット

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「勿論だ。細胞というのは、分裂回数が決まっていてそれ以上は無理である。染色体末端のほつれを防ぐため、キャップの役割をしているテロメアに目をつけた。分裂する度に短くなって擦り切れて終了、が通説だ。が、某米国大学では、老化した細胞を活性化して……」  リンタ様は独り言が多いが、比較的社交的である。今は興奮状態で、血圧上昇が顕著。 「さすが某米国大学! 目の付け所が素晴らしい! いかん。それでは大学へ行こう。グレイ、今日は遅くなりそうだから、夕飯はいらない。では」 「はい。お気をつけて」  血圧値正常、精神状態に若干の不安はあるものの、特筆すべきことなし。  この施設に暮らす人間たちは、高校生が二人、大学生が一人、社会人が三人、そして。 「グレイ。おしゃんぽ、いこう」 「はい。お散歩と言っても、いつもと同じく敷地内のみですからね」  私の手を握る小さな手。手、とは温かいものらしいが、私には理解し難いものである。  収納していたローラーを出し、転がして見せた。これが、スバル様と散歩に行く合図である。 「きょうはにいに、おしごと、だって」  スバル様の歩幅はとても小さい。敷地内の散歩であっても、結構な時間を使うことになる。 「ナツキ様は、高等学校が終わりましたら、真っ直ぐアルバイトに向かわれる様ですね。そうでした、ナツキ様からおやつを預かっておりますので、散歩の後に食べましょう」 「おやちゅ? やったあ!」     
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