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「ぼく、おべんきょうにがてだなあ」
落ち込むスバル様に、私は、ナツキ様がいつもされている、ある行動を真似してみた。
「大丈夫ですよ」
ただの真似で、頭を撫でてみた。頭とは、この様な形であるか。意外と身重な様に思える。髪の毛とは、どんな触り心地なのか。
「グレイのて、あったかいね!」
温かさ、とは何だろうか。私は、沢山の知識が詰め込まれた人工知能ロボットであるのに、言葉で理解出来ても、体感したことは、一度だってないのだ。
だから、私は返事をすることが出来ず、話を逸らすことしか出来なかった。
「スバル様、もう中へ戻りましょう」
「えー! やだー! まだ、おしゃんぽ、するのー!」
「なりません。もしも、喘息が悪化してしまったら、ナツキ様が悲しむでしょう。さあ、戻りましょう」
「で、でも」
「今日のおやつは、ナツキ様の手作りクッキーです。食べたくありませんか?」
この表情は、複数の選択肢から一つを選ぶために、熟考している表情。
「おやちゅ、たべる」
スバル様は、素直に頷かれた。
帰り道、スバル様は私に問われた。
「グレイは、ぼくの、おともだち?」
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