箱の中のAIロボット

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 友だち、とは。学校や職場、志などを共有し、同等の相手であると認識を持って交流している人間のことである。  そもそもの土俵が違う。 「スバル様、スバル様と私はおともだちではございません」 「え……?」 「スバル様は人間、私は人工知能、ないしAIロボットなのですから。違うのですよ」 「なにが、ちがうの?」  話しているうちに、玄関に到着した。 「人間とロボットは違います」  おかしなことは言っていない。人工知能ロボットである私に、間違いなどない。 「さあ、手を洗ってうがいをして下さい」  スバル様は下を向いておられるから、表情が見えない。手洗いうがい完了。バイタルに問題はなし。少しだけ、末端が冷えている。温かいメープルレモネードを用意しよう。 「こちらは、ナツキ様お手製のバニラクッキーとココアクッキーです。レモネードは冷ましてあるので、火傷の心配はありません」 「……いただきます」  正面にいるにも関わらず、表情が見えない。精神状態は特に異常はない。  スバル様後方から、四十デシベルの足音。どうすれば、この様に、落下物の様な騒音を出せるのか。 「お、クッキー見っけ。スバル、一個くれ」 「なりません。これは、スバル様に、とナツキ様から預かった物。エイジ様の物ではございません」 「エイジにいちゃん、これぜんぶあげる」     
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