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『ふふーん、男いない歴更新中~~』
「……」
『何処まで伸びるかなぁーこの記録』
「……」
『なぁ、はっちゃん。訊いてる?』
「……」
私は悪霊にとり憑かれている。この悪霊は私の子どもだ。
15歳の時にたった一度の関係で身ごもってしまった子。
妊娠に気がつかずにいつの間にか流れてしまっていた子だ。
その子どもが何故かずっと私にとり憑いている。
それ以来、男性といい雰囲気になると横から『この男は他に女がいる』とか『金目当てだぞ』などと余計な情報を囁くものだから付き合うまでに至らない。
「……」
この子は私を恨んでいるのだ。この世に生んであげられなかった不甲斐無い母親失格の私を。
だからずっととり憑いて私の女としての幸せを阻止し続けているのだ。
『はっちゃん、もう寝るのか』
「寝るよ。明日早いもん」
『じゃあボクも寝よーっと。おやすみ、はっちゃん』
「……おやすみ、ミノル」
私はこの子にミノルと名付けていた。意味は特に無い。
私の名前の初実から一字取って名付けたに過ぎない。
そしてミノルは私のことを『はっちゃん』と呼ぶ。
(そういえば……)
今になって昔、私のことを『はっちゃん』と呼んでいた人のことを思い出した。
本当に昔のこと過ぎてあっという間に頭から消えたのだけれど。
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