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ミノルの存在は初めこそ怖くて恐ろしくて、色んなお寺に駆け込んでお祓いをしてもらったものだが、その存在が消えることはなく常に私の左肩にちょこんと座っている。
こんな状況がもう15年。
人間とは慣れの生きものだ。すっかり私の体の一部よろしく、今ではすっかりいい話相手になってしまっている現状。
そんなこんなで30を過ぎるともう男はいいかと諦め始めてしまう。
この子と──ミノルと共に一生を終えるのも悪くないかもしれない、と。
この現状をミノルが望んでいるのなら贖罪の意味でも叶えてあげようと思っている。
(女ひとりで生きていく覚悟も出来たしね)
今夜もまたため息をつきつつモゾモゾとベッドに潜り込んだのだった。
──その夜、珍しく懐かしい夢を見た
高校1年生、15歳だった時の夢だ。
勉強しか興味のなかった私に近づいて来た男子がいた。
彼の名前は確か……中村……だったっけ?
下の名前が思い出せない。
中村くんはいわゆる不良というやつだった。
いつも学校を休んでいるくせに何故か放課後の図書室にフラリとやって来るのだ。
其処で私は彼と知り合った。
勉強をしている私の向かいの席にいつも座って静かに本を読んでいる人だった。
毎日そうして顔を突き合わせていればひと言ふた言、言葉を交わすようになるのは必然で、それから彼と親密になるのに時間はかからなかった。
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