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真夜中、零時を過ぎたくらいの時間に、その神社へ真っ白い紙に鉛筆で自分の憎む人物の名前を書いて持っていき、
「消えて下さい、消えて下さい、消えて下さい、消えて下さい……」
そうひたすら唱えながら、書いてきた名前を綺麗に消すと、その人物は近いうち本当に消えていなくなる……という内容のものでした。
小さな田舎町の、小さな学校です。
当然そんな不謹慎な噂は教師や保護者たちの耳へすぐに入り、馬鹿みたいな話を広めるなと注意されてしまって、すぐに聞かなくはなりました。
当然、その噂が真実かどうかを確かめようと実際に挑戦した子もいないはずですし、町から誰かが消えるといった事件も起きてはいません。
ただ、昔誰かが〈噂も広まれば、本当になることがある〉と言っていたのを、私は聞いたことがあるんです。
だからもし、この噂があのまま更に広まり、誰かが試してしまうようなことが起きていたら……。
ひょっとしたら、ただの噂話では済まされない取り返しのつかないことが起きてしまったりした可能性もあったのだろうかと、ときどきそんなことを考えてしまうのです。
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