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街灯の光を受けながら、堺くんが歩いていく。
「ああ、今日も素敵…」
すらりとした長身、広い背中。背筋はぴんとのび、塾帰りだというのに疲れも怠さも感じさせない。体の軸がまっすぐで、歩き方もどこか優雅に見える。
時刻は二十一時。月も出てない夜の住宅街はちょっと不気味だ。それでも堺くんが歩くと、モデルさんが歩くランウェイみたいに魅力的な空間に見える。街灯の寂しい光すら、均整のとれた後ろ姿をあえて控えめに照らすための洒落た照明みたいだ。
ああ、もう玄関に着くみたい。毎日の楽しみはあっという間だ。
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