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第二章
多摩署には、既に大会議室に捜査本部の準備が整っていた。
そこへ、本部の捜査員たちが続々と到着してきている。
そして、最後に沢泉が乗った車が柿崎の運転で到着した。
署長以下幹部が出迎える。
「いやあ、本部の手を煩わせて申し訳ありません」
署長が儀礼的な言葉を述べる。
「いえ、本部でも所轄でも事件を早急に解決できればいいのです。そのためには力を惜しみません。どうぞ、よろしくお願いします」
沢泉は生真面目に返答する。
沢泉が入った時、大会議室には既に本部 所轄合わせて50名ほどの捜査員が揃っていた。
捜査本部長は、形式的ではあるが、所轄の多摩署長が務めることになる。
その本部長の挨拶が終了すると、管理官である沢泉の紹介に続いて挨拶を求められた。
「私は現場経験もない、新人の管理官です。しかし 事件を解決したいという思いはみなさんと同じです。事件を解決するのに階級みたいなものは関係ありません。どうぞ、意見や考えなど 遠慮なく言ってください。よろしくお願いします」
大会議室全体が、ちょっと唖然とした空気に包まれた。
新任とはいえ 管理官であり バリバリのキャリアが、こんな謙虚な挨拶をすることはごく稀であろう。
沢泉は自分が何かおかしなことを言ったのか と 思わず、少し離れたところに控えていた柿崎を見た。柿崎は笑顔で軽くうなづいたのだった。
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