第十四章

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 月曜日から、多摩署では、真理の本格的な取り調べが始まっていた。  真理は、憑き物が落ちたように、明彦の殺害計画についても供述している、という。  その夜、沢泉は楓と電話で話していた。 「それで、その莫大な遺産はどうなるんだ?」 「う~ん、どうなるんだろうな。頼子には権利はなくなったから、普通に行けば、真理が全て相続することになるだろうが、本人は相続を放棄したいと言っているらしい」 「その場合は?」 「相続者が全ていなくなった場合は、会社が受け取る分以外は、多摩市に寄付する、というのが遺言だからな」 「多摩市に全額寄付か。でかいな、はは」 楓は素直に驚いている。 「ただ、弁護士の山脇さんが正式に真理の弁護をすることになったからなぁ。『最後のご奉公だ。警察に加担したお詫びも兼ねて民事刑事両方ともしっかり面倒見させてもらう』って、言っていたっていうからな」 「なるほど、真理が相続して頼子にも分ける、とかありそうかな」 「さすがだな。山脇弁護士は 真理に相続させて半分は多摩市に寄付、残り半分で、頼子とふたり、静かに暮らす、という提案を考えているらしい。まあ、実際、それが半分になるか三分の一になるか、それより少なくなるか、は、わからんが..良い提案だと思うよ。ただし、真理の殺人未遂が立件されなければ..だがね」 「ふむ」
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