第四章

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そのとき、所轄課長と何やら話していた多摩署長が 手を挙げ、 「もし、そういう存在があるとすれば、やはり多摩市内が最有力だと考えますが」 「もちろん、そうでしょう」 長峰が応じる。 「では、多摩市内だけでも、うちの捜査員を動員して当たらせます」 「空き家や空きアパートの情報は地域課が詳しいでしょうし、怪しげな代行ポストなどは生安(生活安全課)が把握しています」 「それはありがたいのですが、大丈夫ですか?」 長峰が心配そうに言った。  まとまりのない署であれば「余計な仕事をさせらた」と署員の士気に影響する場合があるのだ。 「今のところ大きな事件はありませんし、署員もこの事件を気にしている様子でしたので、参加できるとなれば喜ぶでしょう」 課長が ちょっと自慢げに言った。 「それではお願いします」 沢泉は署長に頭を下げた。  沢泉の指示の後、簡単な幹部による打ち合わせ..ここで、主治医にあたる若い捜査員にはベテランの捜査員をペアにするように指示を出しておいた..を済ませて、ペアリングをしてから 「本日は18時より捜査会議を開くので、全員それまでには戻るように」 所轄捜査課長が言って、 全員が一斉に出動した。 (今日は、良い報告があるといいな) 沢泉は、心からそう思った。 長い一日が始まる。
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