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沢泉から電話を受けた科捜研の担当課長は消極的だった。
「管理官、お気持ちはわかりますが、これ以上は難しいですよ。
試薬もただじゃないんですし」
と つい本音もでていた。
そこで 沢泉は、神宮路の「指令」から推測した事実から逆算した...
とっておきの情報を提供した。
「そんなに一から順番に調べなくっていいんだ。私はあまり詳しくはないんで専門家に聞くしかないんだが...
長期でも短期でも使えて大量に使うと多臓器不全を起こすような、それでいて、比較的入手が簡単なもの...なんていうのはないかな?」
「はあ、そうなると、やっぱりヒ素あたりでしょうかね」
さすが、毒物の専門家である。すっと出てくる。
「そうなのか?ヒ素が条件にあてはまるのか?さすがだね」
「いえ、まあ、そうですねぇ。しかし、今どきヒ素を使って殺人とか、ないでしょう。殺人事件ですよね?何年か前に夫の食事にヒ素を混ぜて殺した女がいましたが、すぐにバレましたね。カレーに入れるようなサイコはいるかもしれませんがね」
(夫を次々と殺したってやつか)
数年前にマスコミが大騒ぎした事件だ。
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