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第五章
捜査員全員が出動した後、沢泉は科捜研に電話をかけた。
犬の死因を特定してもらうためである。
犬でも人でも、特段病気だったり外傷があったりしない場合、つまり今回の突然死のような場合、それが毒物によるものだったら、その毒物の特定はひどく難しいものになる。
例えば、血液など体液を何かの機械に入れれば、「こういう毒がある」というようにわかるわけではないのだ。
ある程度あたりをつけて、ひとつひとつ毒物に反応する薬品(試薬)を使いながら調べるのである。
外見に変化があれば、あたりは付けやすいし、正解であることが多い。
その辺は、解剖医が所見として書いておいてくれる。
しかし、今回は 一度埋められていた犬の死因である。
なんらかの毒物とも思われるし、単なる突然死 とも受け取れる。
科捜研が立会いの下、動物医による解剖も行われていたが、
直接の死因は「多臓器不全」である。どうして多臓器不全を起こしたかは不明ということだ。
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