私の秘密は、

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 半年くらい付き合ってみて、司はそんなことで軽蔑してくるような人ではないという確信は持てた。懐も広い人だし、なんだかんだで私のことが大好きだし、「こういう趣味」を持っている私」を受け入れてくれるのではないかとうぬぼれにも近い感情ができてきた。  親友にこのことを話したら、「惚気にしか聞こえんし、うじうじしてるくらいならさっさと暴露してこい」とガチトーンで言われたよ。あの声は、10年来の付き合いの私でも鳥肌が立つくらい恐ろしく感じた。  まあ、親友からの後押しもあり私は今日のデートで「その趣味」について打ち明けると、決意したのだ。 「待っててね、司! 本当の私を見せつけてあげるからーー」  五日間の仕事の疲れが溜まった体を奮い立たせるためにそう叫んで、気合を入れる。親友に見られたら「バカじゃないの」と言われるだろうけど、今は親友がいないのだ。存分に叫んだ。  そしたら、隣の部屋から「うるさい」と言わんばかりの壁蹴りがやって来た。思わずその壁の方に向かって「すみません」と土下座してから、逃げるようにしてマンションを出て行った。
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