私の彼氏。

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私の彼氏。

 色々と自宅で騒いだせいで、待ち合わせ時間ギリギリに集合場所である駅の改札口についた。帰宅途中のサラリーマンとおぼしき人々を掻い潜るようにして、司くんの元へと駆け寄る。 「ごめん、待たせちゃったね」 「ううん、大丈夫だよ。遅刻したわけではないし」  私が顔の前で両手を合わせて詫びると、司はいつも通りの表情でそう言って、腕時計を指した。腕時計は「7時27分」を指していて、集合時間の3分前を指していた。確かに遅刻はしていない。  だけど、私が遅刻しそうになった理由は「自分で騒いでいたせい」によるものだ。司の優しさがぐさりと胸に刺さり、思わず顔を背けてしまう。 「それに仕事で疲れてるでしょ、お互いに」  だから大丈夫、と言わんばかりに頭を撫ででくれる。けれど、その優しい対応に後ろめたさしか感じない私は目を合わせられない。  その様子をみて、司は一つため息をつくと「じゃあ、行こっか」といってよく行く居酒屋さんに連れて行ってくれた。本当に私の扱いをよくわかってるよね、司って。私以上に私のことをわかっているんじゃないかって思うレベルだよ。どこぞのラブソングの歌詞みたいな彼氏だこと。  でも、私の趣味のことを話したら「気持ち悪い」と言って離れて行くかもしれない。  そう考え出したら不安は止まらなくなり、勝手に涙が溢れそうになってくる。情緒不安定すぎるだろう、私よ。そんな姿を人混みの中で晒したくなんてないので、目元にぎゅっと力を入れて我慢する。そして、 司が繋いでくれた手にぎゅっと力を入れて、「離れないでね」と心の中で祈った。
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