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Z博士はいろいろな技術を応用し、目新しいものを作ることで有名だった。
博士は今や世界中の誰もの注目の的で、政府も他国にとられたくないためか、頼みごとはだいたい聞いてくれるらしい。それと共に、進化しすぎた博士の研究を危険視する者も少なからず存在した。
そんな誰しもが知る博士は、自室の机に突っ伏し、研究アイディアに悩んでいる様子だった。
「最近、新しい案が浮かんでこないな~」
博士は頭を掻きながらため息混じりに言うと、だるそうな体を持ち上げて椅子から立ち上がり、閉めていたカーテンを開く。
カーテンを開けて目の前に広がるのは、たくさんの太い木が地上からにょきにょき生えてきたといわんばかりの高層ビルと、その隙間に見え隠れするくもだけだ。
博士はぼんやりと窓の外を眺めていた、そのときである。
━━突如、博士が大きく目を見開き、静かに呟いた。
「これだ……」
「これだぁぁぁぁぁ~」
博士は1人で雄叫びをあげたかと思えば椅子に座り直し、机の引き出しから書類を引っ張り出して鉛筆を片手に紙に黙々と何やら書くのだった。
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