1人が本棚に入れています
本棚に追加
「えぇ? 何それ? ちゃんと給料上げてもらえるんでしょうね?」
「え? あぁ、明日また言ってみる」
「もうっ、どこか抜けてるよね、あなたって」
「そ、そんなでもいいから結婚したんだろっ!」
「何それ! あーあ、結婚なんかするんじゃ――」
彼女は語尾を言わないまま、ため息と共に寝室へ向かった、コップに残ったぬるいビールを一気に喉に流し込んだ。
布団へ入り、目を瞑るとまた朝が来る、納期とプレッシャーに押し潰されそうになりながら一日を過ごし、逃げるように帰った家では美咲に嫌味を言われる。そしてまた布団へ入る繰り返しの人生、どこかで自分を変えなければこの流れは変わらない、このままでいいわけがない。
――性格屋、新しい性格......
ふと、帰りのホームで会った新道のことを思い出していた。
新道譲......明日も、いるだろうか......
最初のコメントを投稿しよう!