性格屋

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「えぇ? 何それ? ちゃんと給料上げてもらえるんでしょうね?」 「え? あぁ、明日また言ってみる」 「もうっ、どこか抜けてるよね、あなたって」 「そ、そんなでもいいから結婚したんだろっ!」 「何それ! あーあ、結婚なんかするんじゃ――」  彼女は語尾を言わないまま、ため息と共に寝室へ向かった、コップに残ったぬるいビールを一気に喉に流し込んだ。  布団へ入り、目を瞑るとまた朝が来る、納期とプレッシャーに押し潰されそうになりながら一日を過ごし、逃げるように帰った家では美咲に嫌味を言われる。そしてまた布団へ入る繰り返しの人生、どこかで自分を変えなければこの流れは変わらない、このままでいいわけがない。 ――性格屋、新しい性格......  ふと、帰りのホームで会った新道のことを思い出していた。  新道譲......明日も、いるだろうか......
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