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「すっげぇいいニオイ。腹へった。」
氷室さんは、その言葉を口にしながら後ろを向き、着替えのためあっという間に寝室へ消えていった。
彼と結婚して一緒に暮らし始めたら、毎日こんな笑顔で帰ってくれるといい。
待っている私のもとに、ずっと笑顔で帰ってくれるといい。
そしたら私が「おかえり」と言って、彼を迎え入れるのに。
毎日笑顔で、迎え入れるのに。
寝室の閉まったドアを見ながら動けない私は、ゆるんだ頬を押さえながら、そんなことを考えていた。
あたまの上からいつも突然降ってくる
あなたから与えられる『幸せ』の魔法の粉
それは全身に行き渡って
痺れるほどに胸を焦がす
恐いほど、またあなたを好きになる・・・
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