カレーライス2

1/3
前へ
/242ページ
次へ

カレーライス2

「ユリ、すっげぇいい匂い。」 氷室さんリクエストのチキンカレーを用意する。 彼が望んでいるカレーはどんなカレーなのか、不安だったけれど悩んでもしょうがないので、結局私の母が作るカレーと同じものにした。 「はい。どうぞ。」 「いただきます。・・・・・旨い!!」 「・・・・・良かった。」 「ユリのカレー、すげぇ。肉やわらけーし、ちょうど良い辛さだよ。」 「これは私の母の味カレーですよ。・・・氷室さんのお家のカレーは?どういうカレーですか?もっと辛いとか。」 「んー・・・・・覚えてない。」 「は?」 「俺のおふくろ、あんまりカレーは作らなかったな。給食のカレーが好きだったから、おふくろに『作ってくれ』と頼んだことはあったけど。」 「・・・・・。」 「親父が毎晩晩酌するから、俺の晩飯はもっぱら酒の肴でさ。うーん・・・煮魚や刺身が多かったような気がする。やっぱカレーは日本酒と合わねぇからな。」 氷室さんから初めてご両親の話を聞いた。 自分の育った家とはまるで違う、彼の育った環境。 それに驚くと同時に、私はあることに気づく。
/242ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7648人が本棚に入れています
本棚に追加