カレーライス2

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「ユリ、なにか手伝うよ。」 食後に食器を洗っていたら、氷室さんが私の隣へやって来た。 「あ、そうですか?じゃあ、洗った食器を拭いてください。」 「リョーカイ。」 彼は布巾を持ち、ぎこちない手つきで食器を拭いて棚へ戻していく。 きっと普段はこんなことなどやったことなくて、しかし少しでも私を助けようと思う心があるのだろう。 お皿一枚拭くのにもギュッギュッと音をさせ、一生懸命の彼を隣で見ていて、嬉しくなった。 「氷室さんは、良い旦那様になりますね。」 「ん?こんなのやっただけで、そんな褒めてくれるのかよ。」 「ふふ。だって、元々優しいし・・頼りになるし、私を大事にしてくれるし・・・。」 「ヤメロ、照れる。」 「浮気は・・・しそうにないかなぁ・・・。」 「あ、それはねぇな。」 「でも・・・今はそうだとしても、いつか私に飽きて他の女の人がよくなるかも知れませんよ?」 「ないない。ユリ以外に興味ない。」 「・・・・・。」 「こら、心配すんな。俺はユリだけ。」 氷室さんは全ての食器を片付けると布巾をおいて、今度はタオルを持ち私の濡れた手を拭く。 そのまま両手を握って正面に立った彼の目は、真っ直ぐに私をとらえた。 「ユリとしか、こんなことしたくない。」 そう言って、私の首の後ろへ指を差し込んで引き寄せ、キスをした。 瞼を閉じる直前の目にうつった彼の焦げ茶色の瞳は、男性なのに色気さえ感じられて、毒針を射たれたように私の体は動けなくなる。 「・・・・・はぁ・・・・・んっ。」 「ん・・・・・・ユリ・・・・」 「・・・ごめんな・・さい・・」 「・・・・・・・え?」 「氷室さん、ごめんなさい。私・・・・」
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