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氷室さんは微笑みながら、私の頬を手で覆う。
今度のキスは、優しく労るようなキスだった。
唇が触れる度に、彼の正直な気持ちが私の中に流れ込んで、喉の奥のさらにまた奥でギュッと心を掴む。
「・・・・・・・・・・はぁっ。」
思わず漏れ出た声の隙間から、彼の熱い舌が入り込み、柔らかく優しく私の中で絡まる。
頭の中がぼうっとして、必死に彼の背中に腕をまわしてすがりつくと、それに応えるように彼の大きな手も私の背中を這う。
「んっ・・・・・・」
「・・・・・・・ユ・・・リ。」
部屋の中は静かで、時々ソファのスプリングが軋む音と、彼と私の吐息が響く。
そうして二人は暫く、お互いの唇に溺れた。
「ユリと一緒にいられるなら、別にできなくてもいいんだよ。」
「・・・・本当に?」
「ホントだよ。我慢します。」
「ふふっ・・・ありがとうございます。」
「でも・・・次は我慢しないからな。」
そう言って彼は笑い、私の髪を撫でた。
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