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永遠のリング
「おはようございます。」
「はよ、ユリ。」
「ふふ、ここ・・・寝癖がありますよ?」
彼の仕事が一段落したので、休みを合わせて朝から彼の部屋を訪れる。
パジャマのままの彼。
耳の横にある小さな寝癖を発見して手をのばしたけれど、その髪に触れる前に、彼の腕が私の腰にまわる。
チュッ・・・
約束したばかりの、おはようのキス。
満足そうな、笑顔の彼。
「・・・昨日も残業ですか?」
「いや、沢田たちと飲みに行ってた。」
「それは楽しそう・・・。」
「あいつらに、すげえ飲まされた。『一人だけ幸せになりやがって、許せねえ!』ってさ。」
「ふふっ。」
氷室さんは私のおでこに軽くキスをすると、「シャワーを浴びてくる」と浴室へ入っていった。
コーヒーを淹れて待っていると、すっかり身仕度を整えた彼がキッチンのカウンターに肘をついて現れた。
「ユリ、コーヒーちょうだい?」
「はーい。・・・・・どうぞ。」
「ん、サンキュ。」
「洋一さん・・・今日、ちょっと緊張します。」
「ははっ、何でだよ。自分の会社に行くだけだろ?いつも行ってる所なのに、何で緊張すんの。」
「だって、お客さんとして行くのは初めてだから・・・」
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