晴れの日

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披露宴には会社の人達や友人が、たくさん出席してくれた。 祝辞やスピーチに、感動したり笑ったり。 ケーキカットをすると、カメラの数とフラッシュの眩しさに驚くよりも、人前で彼に一口食べさせることが恥ずかしくて、顔から火が出そうになる。 キャンドルサービスでは、外商仲間のテーブルにまわったとき、キャンドルに刺身のわさびを塗り付けるというイタズラがされていて、火がなかなか着かないハプニングがあり、みんなお腹を抱えて笑っていた。 兄が、「乾杯」を歌ってくれた。 歌は下手なくせに自分から「余興で歌を」と申し出てくれたそうで、私はとても驚いたけれど、彼は「もちろん知っていたよ。内緒にしてくれと言われたんだ。」と笑った。 2番の歌詞にはいったところで兄が涙声になる。 つられて私も泣いたら、彼がハンカチを私の前にそっと置いてくれた。 「ユリ・・・・」 「え?はい。なんですか?」 高砂の席で、彼の大学時代の友人が弾くピアノ演奏に夢中になっていると、彼が話しかけてきた。 「さっきから言いたかったんだけど・・・」 「?・・・・・ええ。」 「・・・・・・て・・・だよ。」 「え?ごめんなさい・・・聞こえなかった・・・」
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