晴れの日2

2/3
前へ
/242ページ
次へ
「実は昨夜、妻と電話で話をしました。 彼女は嫁いでご両親と離れることに、寂しさを感じているようでした。 その時、以前妻から聞いた話を思い出しました。 妻が小さい頃、お父さんと出掛けることが大好きで、休日になる度に背中に抱きつきながら『どこかに連れてって』とせがんだそうです。 お父さんはたまの休みにもかかわらず、嫌な顔一つしないで、毎週ドライブや公園に出掛けてくれたそうで、私もその光景を想像しては心が温かくなりました。 いつか、私たちに子供が生まれたら、自分もそんな父親になりたいと、思いました。 妻のお母さんは、彼女にとってよきアドバイザーでした。 時間があれば、お茶を飲みながら何時間でもどんなことでも話し合える相手で、進学のこと、就職のこと、そしてこの結婚のことを相談したと聞きました。 その都度返ってくる答えは、愛情に溢れ、時には厳しく、しかし迷った心を間違いなく導いてくれる言葉だったそうです。 普段穏やかな彼女が時折みせる芯の強さは、お母さんから譲り受けたものでしょう。 妻が将来、子供をもった時、お母さんのような母親になってほしいと、思っています。
/242ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7650人が本棚に入れています
本棚に追加