ながい一日

1/3
前へ
/242ページ
次へ

ながい一日

「もしもし?お母さん?」 『あら、ユリちゃん!今どこなの?』 「式場があるセンタービルのホテルよ。さっき二次会が終わって、お部屋へ入ったところなの。」 『そっか、ホテルに1泊してから新婚旅行へ行くって言ってたもんねぇ。すっかり終わって、ホッとしたから電話をくれたのね?ありがとう。・・・洋ちゃんは?そこにいるの?』 「いるよ。・・・いるけど、実は・・・・・。」 結婚式が終わったあと、会社近くのレストランを貸し切って、沢田さんやナオミちゃんが中心となり二次会パーティーを開いてくれた。 そこは、彼と出逢った思い出の場所。 外商部や人事部の社員はもちろん、それぞれの同期の仲間とか、時計や着物売場の派遣社員まで、とにかく大勢の人たちが集まって、賑やかなものだった。 みんなが笑顔で心からお祝いをしてくれた。 しかし・・・・・ 彼の仲間である外商の社員たちが、どんどんお酒を注ぎにくる。 彼はそれを飲む。 ワーッと、盛り上る。 次の外商社員がお酒を注ぎにくる。 彼がそれを飲む。 また、ワーッと歓声があがる。 そして次の・・・ これを何度か繰り返しているうち、お酒に強い彼が遂には酔い潰れてしまった。
/242ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7650人が本棚に入れています
本棚に追加