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いつも冷静で、節度をわきまえている筈の彼。
でも今日は、自分たちのために集まってくれたのだから無下に出来ない、と彼の真面目さが仇となる。
気がついたら、潰れていた彼。
何とか二次会パーティーがお開きになる瞬間までは乗り切り、小野寺さんたちが担いでタクシーに乗せてくれた。
口々に私へ「平気な顔をしてるから、つい。」「調子にのって、飲ませ過ぎた。ごめん。」と謝る外商社員に、ナオミちゃんが「サイテー!」と怒りながらも、私たちを送り出してくれた。
タクシーの中で彼は時々、苦しそうに唸りながら「ユリ、本当にごめん。」と繰り返していた。
お酒臭い彼に肩をかしながら、やっとホテルにチェックインし、部屋に入る。
ヨロヨロとスーツを脱ぎ着替えると、ベッドに突っ伏してあっという間に寝てしまった。
「・・・・っていう訳なの。」
『アハハハ、それじゃあ明日は二日酔いで大変だ。』
「きっとそうね。」
『そういえば、ユリちゃん?』
「なあに?」
『お母さん、言ってなかったわ。・・・おめでとう、今日はとっても綺麗だったよ。』
「・・・ありがとう。」
『今とても良い気分。だって、親戚の人達がみんな洋ちゃんのこと褒めてたもん。ユリちゃんは立派な人を見つけたって、言ってたよ。』
「へぇ、そうだったの?」
『お母さん、鼻が高かったわー。』
「ふふっ・・・・お母さん。本当に今日はありがとう。私、とても幸せだった。」
『・・・・うん、お母さんも幸せだったよ。』
「・・・お母さん。」
『あ、お父さんに代わるね!ちょっと待ってて。』
「はい、おやすみなさい・・・。」
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