ながい一日

2/3
前へ
/242ページ
次へ
いつも冷静で、節度をわきまえている筈の彼。 でも今日は、自分たちのために集まってくれたのだから無下に出来ない、と彼の真面目さが仇となる。 気がついたら、潰れていた彼。 何とか二次会パーティーがお開きになる瞬間までは乗り切り、小野寺さんたちが担いでタクシーに乗せてくれた。 口々に私へ「平気な顔をしてるから、つい。」「調子にのって、飲ませ過ぎた。ごめん。」と謝る外商社員に、ナオミちゃんが「サイテー!」と怒りながらも、私たちを送り出してくれた。 タクシーの中で彼は時々、苦しそうに唸りながら「ユリ、本当にごめん。」と繰り返していた。 お酒臭い彼に肩をかしながら、やっとホテルにチェックインし、部屋に入る。 ヨロヨロとスーツを脱ぎ着替えると、ベッドに突っ伏してあっという間に寝てしまった。 「・・・・っていう訳なの。」 『アハハハ、それじゃあ明日は二日酔いで大変だ。』 「きっとそうね。」 『そういえば、ユリちゃん?』 「なあに?」 『お母さん、言ってなかったわ。・・・おめでとう、今日はとっても綺麗だったよ。』 「・・・ありがとう。」 『今とても良い気分。だって、親戚の人達がみんな洋ちゃんのこと褒めてたもん。ユリちゃんは立派な人を見つけたって、言ってたよ。』 「へぇ、そうだったの?」 『お母さん、鼻が高かったわー。』 「ふふっ・・・・お母さん。本当に今日はありがとう。私、とても幸せだった。」 『・・・・うん、お母さんも幸せだったよ。』 「・・・お母さん。」 『あ、お父さんに代わるね!ちょっと待ってて。』 「はい、おやすみなさい・・・。」
/242ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7648人が本棚に入れています
本棚に追加