はじめての朝

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はじめての朝

初めての朝がきた。 彼と私の、「ハジメテ」の朝。 出逢って、恋人になって、昨日永遠の誓いを交わした私たち。 お付き合いしている間、何度も彼の部屋に行ったけれど、そこへ泊まって一緒に朝を迎えたことは一度もなかった。 だから二人の、初めての朝・・・ 心地よい眠りから、ふんわりと意識が覚醒していく。 動いている訳ではないのに、ベッドが揺れて誰かが隣にくる気配。 その指が、私の顔にかかった髪をゆっくりと払う。 優しく。 優しく。 「・・・・ん。」 「ユリ。」 「あ・・・・・起きてたんですか?」 「ん、さっき起きて、シャワーを浴びてきた。」 「そう・・・。」 彼からシャンプーの香りが漂う。 ベッドに横になり、私の寝顔を眺めていた彼は腕を伸ばして私の首の後ろに差し入れた。 「おいで。」 「はい・・・ねむい・・・。」 「・・・・寝ていいよ。」 「・・・・・。」 腕枕をしてもらって、彼の温もりを感じようと寄り添うと、安心してまた瞼をとじる。 夢を見た。
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