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家の前まで送ってもらい、車を出る。
「氷室さん今日はありがとうございました。」
「ん、お父さんとお母さんに宜しくね。」
「はい。また明日・・・。」
「じゃ。」
彼の車を見送り、振りかえって家に入ろうと歩き出すと、カーポートに父の車と並んでもう1台駐車してあるのに気付いた。
兄の車だ。
隣の市に住む兄は、結婚し奥さんと小学生の男の子と暮らしている。
お正月に一家で遊びに来てくれたけれど、今日兄が来るとは聞いていなくて、不思議に思いながら玄関へ入る。
「ただいまぁ。お兄ちゃん、来てるの?」
昼間、氷室さんと両親が楽しく過ごしたリビングに顔を出すと、兄がソファの真ん中にドカッと座っていて、私と目が合った。
そのただならぬ雰囲気に戸惑って、父と母に目をやると二人ともダイニングにいて、昼間とは全く違う表情をしている。
どうしたのかと立ち尽くしていると、兄が腕組みしながら顎で入ってこいと合図した。
「ユリ、話したいことがある。」
「えっ何?・・・どうしたの?怖い顔をして。」
すると、いきなり大きな声で兄は私にこう言った。
「お前の結婚・・・兄ちゃんは反対だからな!!」
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