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幸せになれる理由
「お父さんとお母さんに、話があるの。」
茶の間のコタツでテレビを観ていた両親のところへ行き、私は正座して切り出した。
氷室さんから結婚を申し込まれ、それを受けたことをやはり両親には早目に言っておくべき、と思っていた。
父と母は私のただならぬ様子にすぐ気付いて、テレビの音量を下げながら向かいあう。
「ユリちゃん、どうしたの?」
「あの・・・・元旦に、彼と初日の出を見に行ったでしょう?・・・」
「はいはい、彼って、氷室さんね?」
「うん。その時氷室さんから・・・これをいただいたの。」
両親がいるコタツの上に、氷室さんからもらった指輪の箱を開けて、中の指輪が見えるように差し出した。
「えーっ!ユリちゃん!これ、婚約指輪?」
「うん。」
「・・・プロポーズされたの?」
「・・・そういうことなの。お父さんとお母さんに、まず言っておきたくて・・・。」
「わぁーっ!良かったね、ユリちゃん!」
母は手を叩いて大きな声をあげて喜んでいる。その横で父は、じっと私の顔を見て黙っていた。
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