二月の青空

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「兄が、氷室さんのことを『いいヤツ』だって言ってました。」 「あれ?たしか、ユリを泣かせるほど俺のことを怒ってたよな?」 「ふふっ、そうですよね。」 「でも・・・光栄です。」 首を少し傾げながら、彼は笑った。 「あれからお寿司の出前を頼んで、食事をしながらあれこれ話したんです。」 「・・・・・ん。」 「4人でじっくり話すなんて、本当に久しぶりでした。」 「それは、良かったね。」 「子供の頃の思い出とか、旅行に行ったときの話とか。」 「・・・・・。」 「私たちの結婚のことも・・・。」 「ん、何だって?」 「楽しみだ、って。」 「・・・・・そう。」 「兄が『オレの家の近くに住め、氷室くんと毎日麻雀するんだ』って酔っぱらって。そのまま寝ちゃったので、今朝自分の家に帰りました。」 「ハハ、嬉しいな。」 「昨日はいっぱい泣いちゃったけど、嬉しいことがたくさんありました。」 「・・・・・ん。」 その時電車がガタンと揺れて、体勢を崩す。 よろけた私の腕を、氷室さんが咄嗟に掴んでくれた。 すぐにその手は離れて、コートのポケットに入れられたけれど、顔を見合わせて笑った。
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