7585人が本棚に入れています
本棚に追加
/242ページ
「・・・・。」
「ん?・・・・・。」
「・・・・・。」
「・・・・・ほら。」
「・・・・・・・洋一・・さん・・。」
「ん。いいねー。」
「恥ずかしい・・・」
「何で恥ずかしいの?とにかく、これからは下の名前で呼ぶこと。」
「えーっ。」
「約束。」
「うー・・・・・・・はい。」
結婚を意識しだしたら、いつかはこうなることとわかっていたけれど、今さら呼び名を変えることがこんなに難しいなんて思わなかった。
お付き合いが始まって彼が私を「ユリ」と呼び出した時に、一緒に変えておけば良かったと、今になって後悔する。
「とりあえず、もう一回呼んで?」
「・・・・・。」
「呼べ。」
「・・・・・・・・・よ・・洋一さん。」
「うわぁ・・・ヤバい。」
満足気な彼は、私の肩にまわした手に力を入れて引き寄せ、髪にキスをして微笑んだ。
『洋一さん』か・・・・
今は照れちゃうけれど・・・
でもいつか、呼び慣れる時がくるかな・・・
最初のコメントを投稿しよう!