すれ違い

1/3
7610人が本棚に入れています
本棚に追加
/242ページ

すれ違い

その日は、朝からおかしかった・・・ いくらブローしても前髪が決まらなかったり、袋から出したばかりのストッキングが伝線したりして、チラッと根拠もなく「今日はツイてない日かも」と思っていた。 氷室さんとの毎朝の通勤電車デートだって、私が出掛けにモタモタしたせいで電車に乗り遅れ、彼と会うことが出来なかった。 こんなこと滅多にないのに。 慌てて『乗り遅れたので1本後の電車に乗ります』とメールをしたけれど『了解。会議に遅れるから先に行きます』という、冷たい返事にガッカリした。 上手くいかない日は、何もかも上手くいかない。 仕事でもミスをして、杉山課長に呼ばれ人事教室で叱られた。 入社して4年。これほどきつく言われたことはなかったと思う。 おそらく課長は4年たっているからこそ、今言っておかなければ、という考えだとわかっていた。でも、こんなミスをおかした自分が情けなくて、すっかり落ち込んだ。 「ユリちゃん、どしたん?」 カフェスペースで一人元気がない私に、ナオミちゃんが声をかけてくれた。
/242ページ

最初のコメントを投稿しよう!