7610人が本棚に入れています
本棚に追加
/242ページ
すれ違い
その日は、朝からおかしかった・・・
いくらブローしても前髪が決まらなかったり、袋から出したばかりのストッキングが伝線したりして、チラッと根拠もなく「今日はツイてない日かも」と思っていた。
氷室さんとの毎朝の通勤電車デートだって、私が出掛けにモタモタしたせいで電車に乗り遅れ、彼と会うことが出来なかった。
こんなこと滅多にないのに。
慌てて『乗り遅れたので1本後の電車に乗ります』とメールをしたけれど『了解。会議に遅れるから先に行きます』という、冷たい返事にガッカリした。
上手くいかない日は、何もかも上手くいかない。
仕事でもミスをして、杉山課長に呼ばれ人事教室で叱られた。
入社して4年。これほどきつく言われたことはなかったと思う。
おそらく課長は4年たっているからこそ、今言っておかなければ、という考えだとわかっていた。でも、こんなミスをおかした自分が情けなくて、すっかり落ち込んだ。
「ユリちゃん、どしたん?」
カフェスペースで一人元気がない私に、ナオミちゃんが声をかけてくれた。
最初のコメントを投稿しよう!