横顔も仕草も

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横顔も仕草も

「今日は俺がコーヒーを淹れるから、ユリは座っていなさい。疲れただろ?」 そう言って彼はキッチンへ入ると、間もなく良い香りが漂ってきた。 ソファに座って束ねていた髪の毛をほどき、その香りをゆったりと楽しんでいると、氷室さんがカップを目の前に置いてくれた。 「ありがとうございます。」 「ん。」 彼は私の隣に腰をおろし、カップの口部分を持ってコーヒーを一口飲むとテーブルへ置いた。 中指を使って眼鏡を軽く上げ、サラッと落ちた前髪もその長い指で払う。 一連の仕草が素敵で見とれていると、私の視線に気がついた彼はニコッと笑った。 「そんなに見て、どうした?」 「だって・・・」 「・・・ん? 」 「洋一さんって、素敵だなぁと思って・・・。」 「なんだそれ。」 「横顔も仕草も、好きだなぁって。」 「・・・・・。」 「声も、笑い方も・・・。」 「・・・・・。」 「指先までも・・・ぜんぶ好きだなぁって。」 「・・・・・・ユリ。」 氷室さんは、片手を伸ばして私の頬を覆う。 掌から優しさが溢れていて心地よく、目を閉じながらその温かい手にすり寄ってみる。
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