表彰式の騒動

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表彰式の騒動

「お疲れ様です。」 今夜は外商の表彰式に参加していた。 外商部全体で、12月までの四半期売上目標を達成した社員の表彰だった。 労働組合の書記長や、宝石・時計・呉服売場などからも参加者があり、私も会場のお手伝いで顔を出した。 もちろん氷室さんも参加していたけれど、私とは相変わらず他人行儀で、挨拶しても一瞬目が合うだけ。 「おーっ、ユリちゃん。こんばんは!」 「あ、小野寺さん。お疲れ様です。」 クリスマスに氷室さんと手を繋いで歩いていたら、小野寺さんと遠藤さんに会ってしまった。そのことを二人は口外しなかったようで、他の社員は氷室さんと私の関係をまだ知らない。 「ユリちゃん。今日、氷室が表彰されるらしいよ。」 小声で、小野寺さんが私に耳打ちする。 「え?表彰ですか?」 「アイツ四半期の売上達成率が、2位だったからな。」 「・・・知りませんでした。」 「このままでいったら、金一封が出る下期の全体表彰も夢じゃないぞ。私生活が上手くいってるヤツは違うんだなぁ。・・・なあ、ユリちゃん。」 小野寺さんは意味ありげな笑みを浮かべ、去っていった。 氷室さん、すごい・・・ 年末は毎日残業だって言ってたけど 頑張っていたんだ・・・・ 何だか自分のことのように嬉しくて、1人でニヤニヤしてしまった。
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