表彰式の騒動2

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表彰式の騒動2

え?・・・・ 氷室さん、今、なんて言ったの?・・・ 驚いて顔を上げると、氷室さんと目が合った。 表彰式では、全く目を合わせなかった彼。 いつものように他人のふりをしていたのに。 今は、宝石売場の可愛い彼女の前で、真っ直ぐに私を見ながら「彼女がいる」と言いきった彼。 お互い、視線をそらせない。 「えーっ!なにー?聞いた話とちがーう。」 宝石売場の彼女は、彼のスーツの袖を引っ張って上目遣いに氷室さんを見ている。 「知らねぇよ・・・・。」 「やだ。信じられなーい!」 「知るかよ。・・・第一・・・アンタは好みじゃない。」 「ひっどーい!」 彼女はプクッと頬を膨らませて、呆気なく他のテーブルにいる外商社員のところへ行ってしまった。 そこに残った沢田さんは、その様子をキョロキョロと見て、驚いたままだ。
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