父と母と、そして彼

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父と母と、そして彼

日曜日、氷室さんが初めて私の家にきた。 プロポーズから約1か月。私の両親へ挨拶にきてくれた。 「はじめまして、氷室洋一と申します。宜しくお願いします。」 「はじめまして、ユリの父と母です。まあ、ゆっくりしていってください。」 小さい頃から、私たち家族が集まって憩うこのリビングに、氷室さんと両親が向き合って座っている。 それはとても不思議で、新鮮で、嬉しい光景だった。 氷室さんは紺色のスーツを着ていて、今日も素敵だった。 その挨拶に来た彼よりも、向かい合う父の方が緊張しているのが手に取るようにわかる。 逆に母は上機嫌で、私に小声で「ハンサムだわぁ」と嬉しそうに笑った。 私は全員分のお茶をテーブルに置くと、氷室さんの隣へそっと座る。 「あらためまして、今日はありがとうございます。」 「いや、良く来てくれました。」 「早速ですけれども、私は真剣にユリさんとお付き合いをさせていただいてます。 お聞きおよびかと思いますが、先日結婚を申し込みました。彼女も快く受けてくれました。」 「・・・・・はい。」 氷室さんの頼もしくて真剣な横顔を見ていると、段々と胸が熱くなってくる。 「実は・・・先に申し上げておきたいことがあります。」 「・・・うん?なんですか。」 「はい。私の両親のことについて、聞いていただきたいのです。」 「・・・・・。」 氷室さんのご両親?東北の? どういうこと?・・・
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