兄の怒りと愛情

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兄の怒りと愛情

「ユリ、話したいことがある。 お前の結婚・・・兄ちゃんは反対だからな!」 家に帰った私を待っていたのは、昼間とは全く違う表情をした両親と、腕を組んで怒りだした兄だった。 いきなり結婚に反対と言い出した兄の真意がわからずに、茫然とする。 「え・・・・お兄ちゃん。」 視線をさまよわせ、すがるように両親を見る。 父と母はダイニングテーブルに向かい合って座り、父は俯いていたが、母は兄と同じように怒った顔をしている。 言い知れない不安が、胸の中から溢れてきた。 氷室さんが家に来て両親へ彼を紹介し、久しぶりのデートも出来て、幸せな1日になるはずだったのに。 急に奈落の底へ突き落とされた。 この結婚は、皆に祝福されるものと疑わなかった私は、自分の浅はかさを悔いていた。 「お兄ちゃん・・・どうして?」 「ユリと結婚したいというヤツ、今日はウチに何をしに来たんだよ。」 「何って、挨拶に・・・・」 「バカ言うなっ!!」 「・・・・・。」 大きな声に驚いて、体が震え始める。 「そいつ、外商の係員らしいな?」 「え・・・う、うん。」 「どうせチャラチャラしたやつなんだろ。お前も言ってたじゃないか。外商は派手な人が多いって・・・。なんでそんな男に騙されるんだよ。」 「・・・あの、それは誤解で・・。」 「第一、ユリはまだ22歳だぞ。早すぎる。・・・もっとちゃんと考えろ!」 「・・・・お兄ちゃん、聞いて・・・。」
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