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スイッチ2
「さっきの続きな?・・・・。」
足の間に私を座らせ、後ろからギュッと抱き締める彼。
私の肩にあごを置き、耳元で囁く。
くすぐったくてジタバタするけれど、動けば動くほどまわされた腕の力が強くなる。
「ふふっ。くすぐったい。」
「こら、暴れんな。」
「氷室さん?・・・・。」
「ん?」
「1年前のバレンタインの日も、後ろからこうやってギューされました。」
「そうだっけ?」
「そうですよ。だって、あの時初めてこんなことされたから、すごくドキドキして・・・。」
「ふーん・・・。」
「私が洗い物をしていた時・・・手が泡だらけなのに構わないで、氷室さんったら・・・。」
「・・・あ、思い出した。」
「あの時はもう、心臓が爆発しそうでした。」
「・・・・・そう。」
「今でも、ドキドキしますけどね・・・。」
「・・・・・。」
「氷室さん?・・・。」
「たしか・・・・こんなふうに・・・。」
彼はその細い指で、私の髪を耳にかける。
「こっち向けよ。」
「・・・・・。」
「・・・ユリ。」
「よく・・・覚えてましたね。」
「・・・・・まあね。」
言われた通り彼のほうを向くと、すぐに唇が塞がれた。
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