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スイッチ3
寝室のベッドの上で、彼の腕枕に頭を預けてまどろむ。
まだ少し息があがっていて、急に動きたくはない気分の私は、その腕の中で小さく深呼吸をした。
「ユリ、寝るなよ。」
「はい・・・でも気持ちいい。寝ちゃう。」
私は布団を首まで上げながら、彼の胸にぴったりとくっつく。素肌が重なって互いの体温で温め合い、心地よい。
彼はそんな私をクスッと笑うと、腕枕をしている手で私の肩を支えてくれた。
「さっきのユリ、すげー可愛いかったな。」
「は?」
「いつもよりかなり大胆というか・・・。」
「なっ!何を言い出すんですかっ。」
「声も可愛くて・・・・。」
「いやっ、ヤメテー。」
恥ずかしさに耐えきれず、密着している彼の胸に顔をこすり付ける。
「ハハッ。でもさ、ユリ?・・・。」
「うー・・・・・はい。」
「その可愛い声で、俺の名前を何度も呼んでたけど・・・。」
「・・・・。」
「結婚したら・・・。」
「・・・・。」
「ユリも『氷室さん』になるんだぞ?」
「・・・・はい。」
「ん?」
「いつ言われるかと、思ってました・・。」
「そっか・・・じゃあちょうどいいな。」
「うー・・・。」
「俺を、下の名前で呼んでごらん?」
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