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「でも、なんで義経さまは蘇れたんですか?生き返りたい人なんて山ほどいるはずなのに」
萌黄が率直な疑問を投げかけると、義経は苦虫を噛み潰したような顔をして「殺された奴と殺した奴の意見が合意したから」と声を絞り出すように言った。
「俺と頼朝兄様が、同時に蘇りを望んだからだよ」
義経は萌黄のあいだ間に挟まれる問いに耳を傾けようともせず、ただ滔々と話を続けた。
ーー要約すればこうだ。
まず1つ、彼岸では殺した者と殺された者は決して出会うことのないよう、慎重の上にも慎重に隔離される。病気などにより亡くなった人は、まず蘇ることができない。自殺の場合は、仏が本当にやむを得ない場合の死、つまりは殺人に近い自殺であったと判断されれば蘇ることができる。
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